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遺伝子検査の結果は一度受ければ十分?~なぜ結果は変わらないの?どう活かし続ける?~

Tags: 遺伝子検査, 健康管理, 体質, 予防, 活用

遺伝子検査にご興味をお持ちいただき、ありがとうございます。「遺伝子検査Navi」編集部です。

遺伝子検査について調べていく中で、「一度受ければ、自分の体質や病気のリスクが一生分かるの?」という疑問をお持ちになる方がいらっしゃいます。確かに、一度の検査で自分の体がどういう特徴を持っているのかが分かるのは、とても魅力的なことですよね。

では、遺伝子検査の結果は本当に一生変わらないのでしょうか?そして、もし変わらないとしたら、その結果をどう活かしていけば良いのでしょうか。

この記事では、遺伝子検査の結果が変わらない理由と、その結果をあなたの健康管理に長く、そして賢く役立てていくためのヒントを分かりやすくお伝えします。

遺伝子検査の結果は、なぜ変わらないのでしょうか?

私たちの体は、細胞という小さなつぶつぶがたくさん集まってできています。そして、その細胞の一つ一つの中に、「遺伝子」というものが収められています。

この遺伝子というのは、いわば「私たち一人ひとりの体の設計図」のようなものです。目の色や髪の色、背の高さといった見た目の特徴だけでなく、「どんな栄養をどれくらい吸収しやすいか」「どんな病気にかかりやすい傾向があるか」「どんな運動が体質に合っているか」といった、体の内側の特徴に関する情報も、この遺伝子の中に書き込まれています。

遺伝子検査では、この「設計図」の一部を調べます。生まれたときに決まっているこの「設計図」は、基本的に生涯変わることがありません。もちろん、特別な病気などで一部の遺伝子が変わってしまうことはごく稀にありますが、一般的に遺伝子検査で調べるような、体質や病気のリスクに関わる遺伝子は、私たちが年を重ねたり、生活習慣を変えたりしても、そのものが変化することはないのです。

ですから、一度遺伝子検査を受けて「あなたの設計図はどうなっていますか?」という情報を得れば、その情報自体は生涯変わらない、ということになります。

遺伝子検査の結果が変わらないことの意味

結果が変わらないということは、一度の検査で得られたあなたの体質の「傾向」や、特定の病気に対する「リスクの高さ」に関する情報は、あなたの人生を通してずっと有効なヒントになり得る、ということです。

例えば、「脂質の多い食事で太りやすい傾向がある」という遺伝子タイプだったとします。この傾向自体は、年齢を重ねても、運動をたくさんしても変わるわけではありません。だからこそ、この情報を知っておけば、若い頃だけでなく、代謝が落ちてくる50代、60代になっても、「私は脂質に気をつけた方が良い体質なんだな」ということを思い出して、日々の食事選びに役立てることができるのです。

ただし、大切なのは、遺伝子検査でわかるのはあくまで「体質の傾向」や「病気にかかる可能性の高さ(リスク)」であるということです。決して、「あなたは将来必ずこの病気になりますよ」という確定した未来を告げるものではありません。リスクが高いと出ても、適切な予防策をとることで病気を遠ざけることは十分に可能です。

遺伝子検査の結果を「使い続ける」ことの重要性

「結果が変わらないなら、一度知ったらそれで終わりで十分じゃないの?」と思われるかもしれません。しかし、ここに遺伝子検査の結果を上手に活用するための大切な考え方があります。

それは、「あなたの体の設計図(遺伝子)は変わらなくても、あなたの『健康状態』や『周りの環境(生活習慣など)』は時間とともに変化していく」ということです。

これらの「今」の体の状態や生活と、「生まれ持った設計図」である遺伝子検査の結果を定期的に照らし合わせることが、健康管理には非常に役立ちます。

具体的にどう活かし続ける?

遺伝子検査の結果を「一生の健康管理に役立つ道しるべ」として使い続けるための具体的なステップをご紹介します。

  1. 結果を改めて確認する: 検査を受けてから時間が経ったなら、お手元にある結果報告書を改めて開いてみましょう。どんな項目でどのような傾向が出ていたか、改めて確認してみてください。
  2. 「今」の自分と照らし合わせる: 結果に書かれている体質の傾向やリスクと、現在のあなたの健康状態、体調、そして日々の生活習慣(食事、運動、睡眠、ストレスなど)を比べてみましょう。「そういえば、この体質って出てたけど、最近こういう食生活になってるな」「このリスクがあるって知ってたけど、運動がすっかり減っちゃったな」など、気づきがあるかもしれません。
  3. 生活習慣を見直すヒントにする: 照らし合わせて見えてきた気づきをもとに、具体的な行動を考えてみましょう。
    • 「脂質で太りやすい傾向」が出ていて最近体重が気になるなら、揚げ物を少し減らしてみる。
    • 「血糖値が高めになりやすいリスク」が出ていて健診でも少し気になるなら、食後の軽い運動を取り入れてみる。
    • 「ストレスを感じやすい体質」と出ていて最近忙しいなら、意識的にリラックスする時間を作る。
    • 「特定の栄養素が不足しやすいタイプ」と出ていたことを思い出し、食事で補う工夫をするか、サプリメントの利用を検討する。 このように、結果を「あなたはこうです」という断定ではなく、「私にはこういう傾向があるから、こういう点に気をつけた方が良さそうだな」という行動へのヒントとして捉えるのです。
  4. 健康診断や医師への相談に役立てる: 定期的な健康診断の結果と遺伝子検査の結果を合わせて見てみるのも良いでしょう。遺伝子検査でリスクが高く出ていた項目について、健康診断の数値も気になる場合は、早めに医師に相談するきっかけになります。医師に相談する際に「遺伝子検査でこういう傾向が出ていると知ったのですが、私の現在の状態と合わせて何か気をつけるべきことはありますか?」と尋ねてみるのも有効かもしれません。
  5. 家族の健康について考えるきっかけにする: あなたの遺伝子には、ご両親から受け継いだ情報が含まれています。また、あなたのお子さんやお孫さんは、あなたから遺伝子の一部を受け継いでいます。あなたの遺伝子検査の結果から、ご家族が注意した方が良いかもしれない体質の傾向やリスクについて、話し合ってみるきっかけになる可能性もあります。ただし、これはあくまで「可能性」であり、ご家族自身の同意なしに検査を進めたり、結果を共有したりすることはプライバシーに関わることですので、慎重に行うことが大切です。

まとめ:結果は変わらなくても、活用法は進化する

遺伝子検査の結果は、あなたが生まれ持った体質の「設計図」の一部を示しており、その情報自体は基本的に生涯変わることはありません。だからこそ、一度受けた検査の結果は、一時的な情報ではなく、あなたの人生の様々な段階で活用できる「一生ものの健康管理の道しるべ」となり得ます。

大切なのは、その結果をただ知っておくだけでなく、「今」のあなたの健康状態やライフスタイルと照らし合わせながら、賢く、そして柔軟に日々の健康づくりに活かしていくことです。

遺伝子検査の結果を、あなたのより良い未来のための羅針盤として、ぜひ長くご活用ください。