遺伝子検査で見つかる「私だけの体質」~食生活と運動をどう変える?
遺伝子検査に興味はあるけれど、「難しそう」「結果を見てもどうしたら良いか分からない」と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
このサイトでは、遺伝子検査で何がわかるのか、そして検査結果を毎日の健康管理にどう活かせるのかを、専門用語を使わずに分かりやすくお伝えしたいと考えています。
今回は特に、遺伝子検査でわかる「体質の傾向」を知って、ご自身に合った食生活や運動習慣を見つけるヒントについてお話しいたします。
遺伝子検査で「体質」がわかるってどういうこと?
私たちの体は、親から受け継いだ「遺伝子」の情報に基づいて作られています。髪の色や目の色と同じように、遺伝子には体の様々な働きに関わる情報も含まれています。
例えば、 * 食べたものからエネルギーを作り出す効率(代謝) * 特定の栄養素をどれくらい吸収・分解できるか * 筋肉がつきやすいか、脂肪が燃えやすいか
といった、体質に関わる傾向も、遺伝子情報の一部から推測できることが分かってきました。
遺伝子検査は、採取した唾液や粘膜からこの遺伝子情報を調べ、「あなたの体は、このような傾向を持っていますよ」という情報を教えてくれるものとお考えください。
検査でわかる「食」に関わる体質の傾向
遺伝子検査でわかる体質の傾向はいくつかありますが、食生活に関わるものとして代表的なのは、主に以下の3つに関するものです。
- 糖質の代謝に関わる傾向 ご飯、パン、麺類などに多く含まれる「糖質」を、体がどのように処理しやすいかという傾向です。遺伝的な体質によっては、糖質をエネルギーとして使うのが得意な方もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。ご自身の傾向を知ることで、糖質との付き合い方(例えば、量や種類を選ぶなど)を考えるヒントになります。
- 脂質の代謝に関わる傾向 お肉の脂身や揚げ物などに含まれる「脂質」を、体がどのように処理しやすいかという傾向です。糖質と同様に、遺伝的な体質によって、脂質を効率よくエネルギーに変えられるかどうかの傾向が異なります。傾向を知れば、脂っこいものを食べる頻度や量を見直す際の参考にできます。
- たんぱく質の必要量に関わる傾向 筋肉や肌を作るのに大切なたんぱく質ですが、遺伝的な体質によって、他の人より少し多めに摂取した方が良い、といった傾向がわかることがあります。
これらの情報は、「この栄養素を全く食べてはいけない」というものではありません。あくまで「このような傾向がある」という体質を知ることで、日々の食事のバランスを考える上で役に立てるものです。
検査でわかる「運動」に関わる体質の傾向
運動に関わる体質の傾向も、いくつか知ることができます。
- 筋肉のつきやすさの傾向 筋力トレーニングなどによって筋肉がつきやすいか、つきにくいかといった傾向です。
- 脂肪燃焼のしやすさの傾向 ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動によって、体が脂肪をエネルギーとして使いやすいか、使いにくいかといった傾向です。
- 瞬発力・持久力に関わる傾向 短時間で大きな力を出す瞬発力と、長い時間一定の動きを続けられる持久力の、どちらがより得意かといった傾向です。
これらの傾向を知ることで、どのような運動がご自身の体質に合っているか、効率よく成果を出すためにはどのような運動を取り入れると良いか、などを考える手がかりになります。
検査結果を毎日の健康管理にどう活かす?
さて、遺伝子検査でご自身の体質の傾向が分かったとして、一番大切なのは「じゃあ、それをどう毎日の生活に役立てるの?」という点ですよね。
ここで忘れてはいけないのは、遺伝子検査の結果は「あなたの持って生まれた設計図の傾向」を示すものであり、「あなたの未来を決定づけるものではない」ということです。たとえ特定の傾向があったとしても、食生活や運動などの日々の心がけで、体の状態は大きく変わります。
結果を活かすための具体的な考え方をいくつかご紹介します。
- 「苦手かもしれないこと」を意識する: もし検査結果で「糖質の代謝があまり得意ではない傾向」と出たら、「ご飯やパンを食べる時は、量を少し意識してみよう」「野菜やたんぱく質から先に食べ始めてみよう」などと、具体的な行動に繋げられます。 「脂肪燃焼しにくい傾向」と出たら、「いつもの散歩を少し長くしてみよう」「エレベーターではなく階段を使ってみよう」など、有酸素運動を取り入れる工夫を考えるきっかけになります。
- 「得意かもしれないこと」を伸ばす: 「筋肉がつきやすい傾向」と出たら、「軽い筋トレを続けてみようかな」と前向きに取り組めるかもしれません。
- 無理のない範囲で取り入れる: 検査結果に囚われすぎて、極端な食事制限や無理な運動をする必要はありません。あくまで「ご自身の体の傾向を知るためのヒント」として受け止め、できることから少しずつ、無理なく続けられる形で日々の生活に取り入れてみることが大切です。
- 専門家に相談してみる: 検査結果の見方がよく分からない場合や、具体的な食生活・運動の改善方法についてもっと詳しく知りたい場合は、医師や管理栄養士、運動指導の専門家などに相談してみるのも良いでしょう。遺伝子検査の結果を伝えることで、よりあなたに合った具体的なアドバイスがもらえる可能性もあります。
遺伝子検査の結果は、自分自身の体と向き合い、健康をより良く管理していくための一つの「地図」のようなものです。その地図を参考に、ご自身のペースで、心地よく続けられる健康習慣を見つけていくことが一番大切です。
遺伝子検査を受ける際の注意点
遺伝子検査キットは様々な会社から販売されています。選ぶ際には、以下の点も参考にされると良いでしょう。
- どのような項目がわかるか: 食生活や運動に関することを知りたいのか、それとも病気のリスクに関することを知りたいのかなど、ご自身の目的に合った項目が含まれているか確認しましょう。
- 結果の分かりやすさ: 専門用語だらけの結果では困ってしまいますね。結果レポートが分かりやすく解説されているか、サポート体制はあるかなども確認ポイントです。
- プライバシー保護: 遺伝子情報は非常にデリケートな個人情報です。情報がどのように管理されるのか、会社のプライバシーポリシーなどをしっかり確認することが大切です。
まとめ
遺伝子検査は、私たち一人ひとりが持つ「私だけの体質の傾向」を知るための一つの方法です。特に食生活や運動習慣においては、「なぜか痩せにくい」「特定のものを食べると調子が悪い」といった漠然とした悩みに、遺伝子レベルでのヒントを与えてくれることがあります。
検査結果はあくまで「傾向」を示すものであり、健康は遺伝子だけで決まるものではありません。しかし、ご自身の体質を知ることで、これまでの生活習慣を見直したり、より効率的で無理のない健康管理の方法を見つけたりするための一歩になるはずです。
ぜひ、ご自身の体と心に寄り添いながら、遺伝子検査を健康管理に役立ててみてください。